車好きの人で車を買ってノーマルのまま乗っているという人がどれくらいいるでしょうか。
最低でもタイヤとホイールは変えるでしょうね。
もう少しいじる人は,マフラー,サスペンションとショック,電気系統,さらに進むと,エンジンの内部まで開いてとなっていくでしょうけど,なんとかなりのギターマニアでも,ギターの場合はドノーマルのまま使っている人が少なくないのですね。
( ̄□ ̄|||)がーーん!
メーカーにはメーカーの立場があり,チューンショップにはチューンショップの必要性があると思います。
メーカーは広くいろんな人に自分のギターを使って欲しいと思うわけです。
ストロークする人も,フィンガーピッカーも,フラットピッカーも,歌の伴奏をする人も,ソロの人も,バンドの人にも使って欲しいと欲張ったことを考えるわけです。
実際 MartinD-28 はおそらく上記のすべてのスタイルの人が用いています。
でも現実に全く奏法が違うのに同じギターでいけるのでしょうか。
( ̄~ ̄;)??
例えば,クラッシックギターとフラメンコギターは似ていますが,実は違います。
フラメンコの素早いレスポンスのために,サイドバックはシープレス(ヒノキ。サイプレスと書いているのもありました。)だったりしますし,チャッという音をパーカッション的に使うので弦高は低めになっています。
ゴルペ板という透明なピックガード(爪ガード)が上下に付いています。
こんな風に奏法によって微調整されていくのが当然の成り行きですね。
そうすると,普通に売っているギターをノーマルのまま使っているというのはギター本来の性能を発揮させるために,また,各個人の奏法に合わせて,音楽を奏でるという目的からすると今ひとつ,今2つではないでしょうか。
実際に最近のMartin,Taylor,Gibson,タカミネなどは最初の弦高がかなり高めに設定されています。
6弦12フレットが4ミリとか,1フレットが0.8ミリとか。
生徒のTaylorは6弦1フレットが1ミリありました。これで押えたらシャープすると思います。
低すぎてビビリが出てクレームになって戻されるよりは,自己責任で好きな高さに調整してくださいという方が,メーカー的には良いということでしょうね。
また,弦高が高い方が鳴りがいいわけですから店頭で比較されると鳴りがいいのは有利ですよね。
もちろん,高いものを低くする方がその逆よりも簡単ですから,最初高めというのは仕方がないことでしょう。
しかし,押えてシャープするという状態は楽器としての完成度は低いような気もしますが,この辺がメーカーの事情もあるという部分ですね。
どうしても手作業で微妙な弦高調整をするとなると,時間がかかります。
生産本数をあげられませんし,値段を下げられません。
完全な手工ギターは職人がほぼ30日~40日かけて造ると言われています。日当1万円なら30万~40万プラス材料費です。
そうなると当然,40万以上クラスの手工ギターがようやく本来の1本ずつ調整された手作りギターと呼べるのかも知れません。
その手のギターの作り方でこういうのがあるそうです。
ギターを塗装前に組み上げて,弦を張って,ルシアーが音を聞きながらトップをサンドペーパーで少しづつ削って納得行く音になったところで,やめるという方法があるといいます。
これは恐ろしく手間と時間がかかる方法です。
でも,出来上がるギターは確実にその人の音になっているでしょうね。
では,20万クラスのギターはどうかというと手作りは手作りなのですが,やはり,工場のラインの中での手作りになります。
1本ずつの最終調整に職人が半日をかけるとか,そういうギターではないことは確かです。
というわけで,弦高がやたらに高くてもメーカーが悪いというよりもメーカーの立場から値段とのバランスを考えるとすれば,万人向けに設定をするのはやむをえないということになるでしょう。
(⌒^⌒)b なるほど
しかし,最終調整に手をかけるつまり,ライトチューンを自分の愛車ではなく自分のギターに施すとどうなるかというわけです。
それが,かなり変わるのです!
簡単な所では,ブリッジピン交換,弦のボールエンド処理,さらにサドルの底面をきちんと確認してフラットを出して,面取りします。
これだけでも,ある人は w(°o°)w おおっ!!
と叫ぶかもしれません。しかも,ここまでは誰でもできます。本当にライトチューンですね。
この次は道具と知識が必要になります。ミドルチューンでしょうか。
ネックの順反り具合を調整し,弦高をナットとサドルで調整します。
特に1フレットの弦高を調整し,バズをちょうど良く発生するように合わせます。
このバズるというのがミソで,1,2弦を特に強く弾いた時にビシッというような音にするのが表現の幅が広がるポイントです。
トミー・エマニュエルのサウンドを聞いているとこれがサビの部分のピークで実に効果的に使われていて,カッコいい~!としびれてしまいます。
実際にどれくらいにするといいのかというのはギターと,その人のタッチもあるので絶対これとはいえませんが,フォルヒのバランスは1弦1フレットで,0.4ミリ,6弦1フレットで0.55ミリくらいですよ。
私のギターもこのくらいになっています。
このバズる感じはとても重要です。強く弾いたらバズる。これが調整の目指すところのひとつだと思います。
2008/5/13 追記
この1F弦高をピックで測ったり,シックネスゲージで測ったりして正確に出すことを昔はしていました。
最近はもっと単純ですが,正確な方法を使っています。
1F弦高をミリで出すと,サドルを削って12F弦高が変わった時にバランスが崩れる可能性があります。
それで,最初にロッド調整でネックをまっすぐに調整します。
その後,ナット溝の深さは各弦の3Fを押さえて,1Fを叩いて弦とフレットの距離を見ます。
くっついていたらアウトです。その場合は弦高をサドル側でやや上げるしかありません。
くっつく寸前のわずかにカチカチ言うくらいの高さがいいと思います。
トミー風にバズらせたいならここを超ぎりぎりにしますし,変則チューンでも使いたい場合はこの弦高を下げ過ぎないようにします。
トミーの教本のCDを聞くと完全な生音です。それでギターのバランスがわかりますが,かなり弦高が低い事が分かります。
他にも塗装をはがして,トップをさらに薄くするとか,小さいかんなでブレイシングを薄くするとか,その辺はあまりに危険なヘビーチューニングですよね。
でも,弦高調整まではフィンガーピッカーには必需品と考えるのが良いと思います。
自分できちんとやってみるか,調整できるお店に依頼するのが良いでしょうね。
私はついにナットやすりまで買って自分でいじるという領域に入ってしまいました。
この世界もおもしろさがありますので,いつしかギター弾きからリペアマンになっていく人がいるのがわかります。
ヾ(・_・;) オイオイ
私のNIIOKAモデルも自分でチューンをしてみたのですが,ぐっと変わります。音のレンジが広くなります。
ぜひ,どのようにやったかは実験室に少しづつ増やして行こうと思っています。
チューンが面倒だなと思う人は最初から調整されているような弦高のフォルヒを買うというのはひとつの方法ですね。
フォルヒは調整の必要性を感じないすごいギターですね。
また,ラリビーは標準でもかなり低めなので調整なしでもいけるのもあると思います。(私はラリビーも調整していますが)
何人かのリペアマンとかチューナーの方といろいろ話をさせていただいたりして,それぞれの得意分野と料金の違いなどもある程度わかりました。
本当に車とよく似ていますが,車検通らないくらいカリカリにチューニングするショップもあれば,ほんのちょっといじる程度のメーカーに準じるようなショップもあります。
もしも,どうしてもいじりたいギターがあってどこへ出せばいいのか全く知らないという方はメールでもくださいね。
自分に合った,自分だけのギターになると愛着がわきますよね。
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