top of page
niioka

Cole Clark ファクトリー訪問記!

更新日:2020年6月24日


オーストラリアはメルボルンの郊外に今やオーストラリアを代表するギター・ブランド、コール・クラークの事務所とファクトリーがあります。本日はメルボルンのホテルから電車に乗って最後は歩きで行きます。GoogleMapがあれば大丈夫ですね。

Cole Clark ファクトリーがありましたが、看板は小さく中国語で言う「低調」ディディヤオという雰囲気です。


どこに工場があるかと言うと裏側にあります。

時間を約束しておりましたので、現社長様自ら案内してくださいます。

大量の木材のストックが目を引きます。


乾燥は数ヶ月で十分だと彼らは言います。ブラッドレー博士は「20年寝かせた材料が良い音がする?(Fu...!)」と常々おっしゃいます。


彼らはオーストラリア独自の木材を使います。元々オーストラリアは湿度が低いので地元の木材の方が耐久性が上がるのか?それとも、手に入りやすいから? 下の赤みがある木材をGidgie woodと言うのですが、Googleで検索すると確かに沢山出てきます。


乾燥のさせ方も説明してくれました。丸太で買ったら外で切り分けます。その切り分ける道具を作っている専門メーカーがあり、大きな設備がなくても丸太をスライスに出来る優れものです。製材所のような設備なしでも出来るのですね。

Lucas Mill 良いもの作りますね。ウェブサイトには切り方の動画もありました。



3棟からの工場が全て温度と湿度がコンピューター制御で管理されていて、温度21-22度、湿度42-48%にコントロールされていると言います。なので、「ギター販売後もユーザー側でこの温度と湿度をキープしてもらう必要があります」と言います。「それ以外の環境でトップが割れても無償修理はいたしません」と言っていました。

この右の写真にはLOW BAKE というドライルームが2つあります。2段階で乾燥させますが、熱処理に近い温度でした。最終的には含水率6%にします。どこも同じですね。


ヘッドホンで耳を保護してるのかと思ったら音楽を聴いているらしい。社長曰く「仕事は楽しく」だそうです。ネックもトップもバックも巨大なNCで大量に作る方法ですね。右はギターを負圧で吸いつけて固定して作業する道具ですが、自分たちで作るらしい。買うと高い機械です。



ブラッドレー博士が設計したこのギターの作り方はスペイン式の作り方ですね。社長曰く「マーチンは200年も歴史がないが、スペインのギターは300年の歴史があるからね」スペイン式だとネックジョイントがないのでギターを作る時間が大幅に短縮されます。トップとネックを合わせて、それにサイドを差し込んで接着するだけなので、ネックアングルの狂いも少ないと言われます。




また、コール・クラークのネックは非常に強いです。ロッドの仕組みと考え方がマーチンとは少し違います。それにしてもブレイシングそのものにピックアップを載せるのは素晴らしいアイディアですね。





木材のサイドベンドですが、お湯に浸してから145度で10分となっていました。もちろん素材により少し低い設定もありました。このような数字はレシピとも言えない事だから公開してしまう辺りにメーカーとしての余裕が感じられます。グランメゾンの尾花のようだ。


スモールボディのヘッドにアイディアがありました。スモールボディのギターにグローバーのペグを付けるとボディよりもヘッドが重くなり下がりやすい、いわゆる頭でっかちな感じのギターになる事があります。それを避けるためにヘッドの中を空洞化して重量を減らしているのでした。そして万が一倒れてネックが折れる際にはネックの木材ではなくヘッドが割れるように設計されているので、Gibsonにあるような割れ方はしませんとの事。なるほど。


ネックと貼り付ける前に指板にフレット打ちですね。全体を2回プレスするので非常に均一で安定したフレットになると言います。指板のインレイはアジア人が担当してました。


指板にフレットを打つとタングの幅の力で逆反りになります。それをネックに貼り、逆反りの力を持ったロッドを使う事で弦の力とバランスしているような気がしました。ヨーロッパの普通の設計のようにネックに弓の力をかける方法とは違う設計を感じました。


塗装を担当する2人組ノリが良い。「俺たちに任せてくれよ」って軽い感じですが、良い仕事していました。なぜギブソン風にサンバーストがあるかと言うとナッシュビルからの要求らしいです。床全面でバキュームされるので作業員の健康も安心。


これは興味深い写真です。エレキも作っているのかと思ったら、作業員が仕事以外の時間で自分のギターを作るのに会社の工具を使って良い事になっているのです。社長曰く「各自のスキルが上がれば、それは会社にもメリットがあるからね」時給は高いし、自分のギターは作って良いし、音楽聴いて仕事しても良いし。人にとっては夢のような職場ですね。



フレットの高さとナットの溝はPLEKで仕上げ、フレット端は職人の手作業で仕上げる。大切な所を見極めるの力が素晴らしい。フレット端処理も非常に良いです。


ピックアップの音を調整する部門、写真撮影のための部屋、そして3枚目はトップの厚みを部分的に薄くした場合の耐久性を数ヶ月に渡って実験している所。


社長様自ら新作のハムバッキング搭載のアコギをデモ演奏してくださいました。ピックアップはそれぞれ独立で出力しますので、アコギの音もエレキの音もします。ライブで少しだけエレキの音が必要な時2本ギターを持って行かなくても良いというメリットはありますね。どのくらい売れるかは未知数ですが。コール・クラークのケースがカッコイイ。最後の写真はアメリカ向けの300本らしい。年間生産数3500本と言われるコール・クラークが今アメリカから注目されているらしいのです。


アメリカNYにある超有名なギターショップ、グルーン・ギターで売られるようになったと言います。グルーンギター


社長曰く、「マーチンD45の音は素晴らしい、ではピックアップを付けてライブで弾いてマーチンの音は出ますか?」「コール・クラークのラインの音はマーチンの生音と同じ感動をラインで出力するんだ」


この説明は確かに的を得ています。このCole Clarkファクトリー訪問は私に非常に大きなイイスパイアを与えてくれました。今年はマーチンのようなサウンドとコール・クラークのラインの音が出るギターをそれらよりも安く作るという事に挑戦したいと思います。アイディアはすでにありますから。



帰り道のメルボルンの街はカフェも建物も美しく、ギリシャの美しい景色から多くの思想が生まれたという話を思い出しました。オーストラリアのミュージシャンがMatonかCole Clarkを使っている確率はかなり高いと感じました。


メルボルンの楽器にはMatonが沢山ありました。


ちなみにオースラリアの大自然から受けたインスピレーションも半端ないです。


世界一美しい海岸線と言われるグレート・オーシャンロード、そしてAyersギターの語源でもあるAyers Rock 。そのパワーに圧倒されました。



大自然からインスピレーションを得るオーストラリア・ギターを勉強するために一本購入してきました。


Little LADY というのですが、背が低くて太ったLADYのような見た目非常にブサイクな感じなのです。でも飛行機にギリギリ持ち込めた600mm位のショートスケールとは思えないラインのサウンドを出力するのです。世界最高のトラベルギターと言えると思います。でも見た目は微妙です。ケースもカッコいいし、強い。

物価はやたら高いけどまた行きたいと思わせるオーストラリア、Cole Clark ファクトリーツアーでした。


        Cole Clark 日本輸入総代理店はイシバシ楽器です。



Kommentare


bottom of page