調整の第一歩はギターの弦の張り方ですね。
私が調整したギターはほとんどこの方法で張られていますので,バズる方は一度この方法を試してみてくださいね。 テンションを弦の巻き方である程度変化させられますよ。
ナットサドルをいじるのもやったことがない人は少し抵抗があるものです。
でも,弦の交換の仕方だけで音質を調整できるとしたらどうでしょうか。
ちょっとやってみたくなりますよね。
ヽ( ´ ▽ ` )ノ ハーイ
これこそまさに調整の第一歩のような気がします。
弦の巻き方だけで音に違いが出ます。
それはわずかな違いではなく,ある場合にはギターの印象までも違ってきますよ。
もちろん弦の種類をどう選ぶかも関係があります。
私が弦高をぎりぎりに調整した場合には,弦の巻き方や種類はある程度指定されてきます。
調整時点と違う巻き方にするとバズッたりすることもあります。
巻き方を変えると直ったりします。
巻き方は侮れないのでした。
(≧∇≦)b なるほどっ!
では,写真で実際の行程を見てみましょう。
今回はエリクサーを張ってみます。
私は普段はエリクサーを使いません。
どうやっても巻き線とプレーン弦の寿命が違う感じがするからです。高いし。
でも,メンテナンスが楽で店頭で長期間にわたり,試奏されることを考えるとメーカーがエリクサーをチョイスするのはわかります。
最初に巻き返しの部分を見ましょう。
この巻き返しの終りがどの弦も片側盛り上がりますね。
私はこの巻き返しの面が上になるように使うのがいいと思います。
弦が溝を通る時になめらかな面を下にする方がが余計なテンションをかけずに,ブリッジの寿命を長くするのではないかと思ったりします。
これをラジオペンチで横曲げにしましょう。
縦曲げと横曲げでは音が少し違ったりします。
最近の私は横曲げを基本とします。
プレーン弦の時に縦曲げではボールエンドが取れたりすると…
♪ 「悲しい時ーには空ーを見ー上げー・・・」と松山千春を歌いたくなります。
新品のダダリオのセットでボールが落ちるとショックです。
それで,横曲げの方が安全ですね。
縦曲げの方がテンションが上がり,箱鳴りが増える場合がありますが,多ければ必ずしもいいわけではありません。
音質はトータルバランスですから。
これに関してはバナナムーンの松本師匠のWEBに詳細な絵があります。
HPの下の方に弦の巻き方が書いてあります。
テンションを別の方法で私は稼ぐので,ここでは上がりすぎないように横曲げが私はいいんです。
曲げました。
さらに上の方で軽く曲げます。
こんな感じでいいと思いますよ。
これを入れます。
この時に大切なのは,穴の途中にピンの力で止まっていないということです。
ブリッジプレートに引っ掛かるように,ピンで押し込んであげますが,ピンで押さえているのではなくて,ピンは弦を寄せているだけというイメージです。
力は裏側のブリッジプレートに引っかかっていて,ピンはただきちんと弦を寄せているというのがポイントですね。
ピンの頭の下から,巻き返しが少しだけ顔を見せているのが見えますか。
これがいいと思います。巻き返しは上面に!
私は最初に全部の弦を曲げて入れてしまうのです。
このような何とも不思議な絵になるのが楽しいのです。
1本ずつ交換する人もいますが,指板を磨いたりしますので,私は全部一緒に交換します。
弦を全部はずすと張力が変わってギターに悪い・・・という理論を聞くこともたまにありますね。 でも,このくらいの張力の変化でおかしくなるネックなら使い物にはならないと思ったりします。
今度はヘッド側ですが,ペグの穴がありますね。
これを全部縦方向に最初から合わせておくのです。
このひと手間が大事なんですよ。
穴がこっちを見ているでしょう。
さっそく巻きましょう。
6弦のペグポストに通します。
そして,弦をフリーにしてねじれが絶対にないようにします。
そうです。
弦を巻く時の目標はねじれがないということです。
ちょっと考えてみてください。
弦が180度くらいねじれているとしたら,その弦は振動しやすいでしょうか。
それともねじれの力で振動出来ないようになっているでしょうか。
昔乗っていたサニーのトランクは金属棒のねじれの力をぱねにしてトランクが開くようになっていました。
ねじれの力は侮れません。
次のペグくらいまで引っ張ったらその長さ分を戻しましょう。
これを忘れてまいてしまう初心者の方はこのあとが大変だー。
弦の両端を私は カキっ と曲げます。
ペグのボディ側にはみ出している方は下に,ヘッド側にはみ出している方は上に,カキっと曲げて弦に癖をつけます。
こんな感じになりますよね。
本当は両手でやっていますが,カメラを持っているものですから。
この曲げがあれば弦が緩んで戻ってしまうということはありませんよ。
ここが大切ですが!
この弦をロックする時の角度が重要です。
もしもここで両端を正確に水平に曲げないとここでねじれが生じることになります。
ギターが低いところにあって,自分が上にいる場合はやや斜めにねじることが多くあります。
意識して正確に水平に曲げてロックしましょう。
次の段階は したーにーしたにー と昔の殿様の行列が言うようにはみ出した弦が下になるように巻きます。
右手の人差し指ですが,ここを緩めてはいけませんね。(親指に見えるって?)
今度は自分が持っている方の弦を下に下に巻いていきます。(やっぱり人差し指ですよ)
反対の角度から見てみましょう。
このように弦を上下でロックするという定番中の定番の巻き方です。
他にも巻き方はいろいろやりました。
マーチン式というか弦をかませるやり方がありますよね。
これもバナナムーンのHPに動画と分解写真で出てきます。
弦の巻き方(動画)というところを見てみましょう。
この弦を迎えに行ってかませて戻ってくる方法で巻くとはっきりとテンションが上がります。
弦のテンションは高くなります。
これはきっと誰でもわかる音の違いだと思います。
キンッと張りがある感じの音になります。
でも,テンションをただ上げればいい音になるわけではありません。
ギターの音色はトータルバランスです。
すべての行程でテンションを上げるようにすれば最後は,パンパンに張りきった感じになります。
それではサスティーンとか余韻などが伸びません。
最初のアタック音が強いだけの弾きにくいギターになります。
テンションが高い音というのは簡単に実験できますよ。
ギターの6弦をFとかF♯にしてみてください。
その時の余韻とかアタックとかを聞いてみましょう。
今度は6弦をDにしてみましょう。
その余韻やアタックはどうでしょうか。
張りが緩いDの方がゆったりと箱が鳴る感じがありますか。
そうであれば,同じチューニングだったとしても調整でテンションが高くなったり,低くなったりすれば,そのアタックや余韻は同じように変化するというわけです。
鳴り方のバランスを変化させられるというわけですね。
それに,マーチン式の場合は弦交換の時間が多くかかります。
巻くのにも時間がかかり,はずすのは全く時間が違います。
上記のサンドイッチタイプだと弦をはずす時間は,6本全部を数秒ではずせます。
ヘッドに傷をつける心配も少ないですし。
これも私は重要だと思います。
はみ出したところは短く切ります。
時々3センチくらいに切っている人がいます。
生徒さんでもそういう方もいて,時々近づいて弾き方を説明しているうちに弦がザクッと手に刺さることがあります。
ダメ! (T∇T )( T∇T) ダメ!
特に2弦が怖いのです。結構深く入ると血も出ます。
危険なので,弦は短く切りましょうね。
他の弦も同じように巻いていきます。
3弦は2回巻きになるように長さを調整します。
プレーン弦が戻ってきて困るという話を初心者の方がされますが,これもカキっとそれぞれを曲げましょう。
このロックがあれば弦はゆるまずに張れますよ。
これは弦を引っ張っているのではなくて,サドルの上で正しい位置に来るように導いているのです。
弦を巻きながら最後はこの位置調整もしてあげるのですね。
(≧∇≦)b なるほどっ!
初心者は時々弦がサドルの上でまっすぐ正しい位置に出てこないで横にずれている場合があります。
弦がサドルにまっすぐに乗っているかも確認しておきましょう。
ブリッジピンもわずかに浮き上がったりしてきますので,最後まで埋め込んでおきましょう。 これもテンションに関係がありますね。
全部張れたら,チューニングの前に少し引っ張って弦の緩みを取っておきましょう。
チューニングが二度手間になりますからね。
これでチューニングも安定してきますよ。
さて,最後はいいチューナーで合わせましょう。
コルグのDT-7が中央付近の精度が高くていいですね。
家ではDT-7,レッスンではAW-1です。軽いから。
他の安いチューナーを初心者の生徒さんが買ってきたりしますが,中央付近の精度が悪いためにいまいちのチューニングで練習をしてしまいます。
ハーモニーがきれいかどうかという点で自分の感覚を高めるには,最初はいいチューナーでぴったり合わせて練習するのがいいと思いますよ。
自分の感覚を磨くという意識が大切ですね。
コンパクトのチューナーではAW-1がお勧めですね。
当然のことですが,テンションを上げるには弦が太ければいいわけです。
でも,太い弦では高音が出にくくなります。
エクストラライトになれば高音がきれいになりますが,低音の太さとか弦のコシみたいな部分が足りません。
( ̄ヘ ̄;)ウーン
それで標準はやはりライトです。
昔超ぎりぎりに弦高を下げて,ミディアムを使っていたころもありますが,やはりバランスとしていいのは最終的にライトです。
ライトゲージと言っても実はすべてのメーカーで太さが同じではありません。
このエリクサーのフォスファーライトは1弦が012インチ,6弦が053インチになります。
1,2弦が012と016というのはどの弦もほぼ変わりませんが,3弦以降の数字は若干違います。
そして,コーティング弦は全般的に硬くなり,テンションが高いというイメージがあります。
それに対してマーチン弦は012から054と6弦がわずかに太さがあります。
きらびやかさと箱なりとがきれいに共存することと,弦の安定感がとてもいいです。
安いメーカーはたまに巻きがおかしいものがありますが,マーチンは非常に品質が安定しているように思います。
テンションも標準的です。スタンダードと言える弦ですね。
それに対して最近多くのギターメーカーはギター出荷時点の弦をダダリオにしてきました。
コリングスもダダリオになったと思います。
クラシックギターでもいい弦と思ったのはダダリオです。
私も昔から長年ダダリオEJ16でした。
ラリヴィーにもマーチンにも合います。
最近いろいろ使ってまたEJ16に戻ってきました。
6弦が053で3弦も少し細くて,マーチンよりもさらにテンションが下がる場合もあります。
実際にギターによってはマーチンのセットと同じように張ると弦高が12Fで0.1ミリくらい下がることもあります。
でも弾いてみると弾きやすいですし,テンションがすごく下がったという感じはありません。
むしろ音色に張りと艶があるくらいに感じられます。
弾きやすさを求めると,コーティングよりも普通のフォスファーの方が指に優しいかもしれませんね。
EJ16とマーチンフォスファー(SPでもいいし,マーキスでも,クラプトンでもいいですよ)を一度試してフィーリングとしてはどっちが合うか試してみてはどうでしょうか。
これをボールエンド横曲げで張ってみましょう。
今までよりもテンション感が増すのか,下がるのか,感じてみるようにしましょう。
テンションが微妙に高い,低いというのがきっとわかってくると思いますよ。
(ノ^_^) ハイ!
その耳が育つことはギター調整の第一歩だと思いますよ。
さて,調整でさらにテンションを上げられるのにどうしてわざと上げないのか?
これは他の部分の調整方法と関係があるのでした。
それは調整の基礎はまた次回。
また引っ張って (ToT)>゛スンマセン
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