同じギターを違う人が弾くと違う音が出てきます。なぜでしょうか。そのカギは右手の使い方にあります。ギター講師のキャリアが詰まったこのページをご覧くださいね。
ギターをはじめた頃にギターの右手と左手は反対の方が動きが良いのではないかなと思った事がありました。
確かチェッカーズのリードギターを弾いていた人が左利きなのに,地方だったから普通の右利き用のギターしかなくてそれを使っていたという話を聞いた事がありましたが,その後フィンガーピッキングを進んでいくにしたがって,どうしても右手じゃなきゃ(利き手じゃないと)だめなんだという事が分かってきました。
なんと言っても,メロディーも音量も,すべてが同時に右手だけで制御されるのですから,利き手である必要があります。
(⌒^⌒)b なるほど
初心者の右手の形は非常に共通しています。
上級者の形もやはり,共通しています。
あなたの右手の形はどうでしょうか。写真とともに検証してみましょう。
まずは初心者の形を見てみましょう。 (ご協力くださった生徒の皆さん ブンブン ヾヾ(^-^) ありがとがとぉ♪)
最後の方はフォーム調整中です。
気が付いたでしょうか。そうです。ポイントは親指の位置なんです。
どうやって弦をはじくか?
自分はどういう音色を作りたいのか?
そのことを考えていくと多くの人は同じフォームになって行きます。
初心者の右手は大別すると以下のようなスタイルになります。
特徴は
1 親指が人差し指の内側に入る。
2 人差し指から薬指が曲がりすぎて,こぶしの山が出ない。
では,上級者の形を見てみましょう。
論より証拠ですね。まずは,プロの右手を見ていただきましょう。
若き日のチェット・アトキンスです。
トラビスピッキングのマール・トラビスの息子,トム・ブレッシュです。
言わずと知れたエリック・クラプトンです。
フィンガーピッキングコンテストの優勝者でもある,タッド・ハラウェルです。
さらに,トミー・エマニュエルです。
ここまでで右手の形には共通のフォームがある事がわかるでしょうか。
もちろん,演奏スタイルとの関連もあるので,これがベストとはいえませんが,なぜこういう形になるのかが重要ですよね。
カントリー系のスタイルはほとんどの人が同じようなスタイルです。
小指をサウンドホール脇に付けて,突き出した親指でサムピック弾きという感じですね。
クラッシックギタースタイルと鉄弦のアコースティックギターでは右手のスタイルは変わるはずです。
どうしてか?
弦が違うからです。
これによって目指す音の出し方が全く変わってきます。
ガットギターはメロディーになる1~3弦がナイロンです。
太くて,やわらかいんです。
ハナバッハのハイテンションにすると安いギターでもかなり良い音が出ますが,弦そのものが太いので爪を立てるように指と弦が垂直に近い角度で交差しないと音の粒が立ちません。
♪じゃらーん
(⌒^⌒)b 良い音です。
ガットギターでスティール弦と同じような弾き方をしてみましょう。
♪じゃらーん
( ̄~ ̄;)ウーン・・・
なんだか音にしまりがありません。
つまり,
スティール弦の場合
1,2弦につめだけでなく,指の摩擦音を入れることによってギターの箱鳴りを引き出す。
ナイロン弦の場合
弦が太くてやわらかいので,弦を垂直に弾いてメロディーをハッキリ際立たせる。
このような違いがあります。
長年ナイロン弦を弾いてきて,スティール弦に持ち替えた人はここを意識してみてはどうでしょうか。
ギターの構造から弾き方が違ってくるというわけです。
では実際にスティール弦の右手の形を実演してみましょう。
クラシックギターの教本には大抵こう書いてあります。
1~3弦に人差し指から薬指を置いて,6弦に親指をおきます。
右手の親指と人差し指と弦で三角形が見えるようにというのです。
非常にクラシックギターには適したスタイルだと思いますが,鉄弦のギターを弾く場合これでは,ハーフミュートというギター技が使えません。
これなしにはラグタイムもブルースもカントリーも全く決まりませんよね。
低音弦4~6弦をハーフミュートするサウンドこそソロギターの醍醐味です。ハーフミュートとノーマルサウンドを使い分けるためには,すぐにハーフミュートに移動できる位置に手がある必要があります。
それで,上の写真の手の形のまま角度だけを変えて,いつでもすぐにハーフミュートが出来る位置まで下げてきましょう。
すると,こうなります。親指と人差し指と弦で先ほどは正三角形に近い形でしたが,小さい直角三角形みたいな形です。
昔懐かしい,二枚セット三角定規のもうひとつの方に近い形でしょうか。
(ノ^_^) ハイ!
6弦が親指のラインにギリギリですね。
ここから,一気にグーを握って音を出してみます。
ただ,人差し指から薬指は第2関節から先を曲げるようにして,本当にグーを握ります。 親指は向こうへ押します。
そうすると,こんな感じです。
他の指はグーを握るだけなので,わかりやすいですね。
一応アニメーションで見てみましょう。
第二関節から先を曲げる感じです。ベンドするとよく言います。
右手の位置が大きく動くのではなく,指をベンドするのがポイントです。
特に,弦を弾く指の角度が大切だと思います。
初心者の多くはこの時点で,指が曲がっています。
すでに曲がっているので,上に弦を引っ張るようなピシッというイヤーナ音が出ます。
それで,弦と指が垂直以上にならないようにしています。
ここで曲がりすぎてると,引っ張り気味の音になります。
スティー弦のプレーン弦を擦るようにして,箱鳴りをプラスする音色がポイントです。
ピック弾きとフィンガーピッキングの違いはここにあります。
指先全部にピックをつけると,カチッとした良い音になりますが,曲によっては弦の摩擦音が入る方が良い場合もあります。
その辺は使い分けですね。
(⌒^⌒)b なるほど
でももっと難しいのは親指の動きです。
下の方向へ押し下げるのですが,そのバランスが言葉ではどうしても伝わりません。
引き下げるというようなイメージです。
出来るだけ,人差し指から薬指の3本を動かさずに親指だけを動かしたいのです。メロディーを安定させるには必要な要素です。
それでは,アニメーションで見てみましょう。
親指だけが動くのではなくて手が伸びているのがわかるでしょうか。手首も微妙に返しています。
実はここがかなり重要なポイントです。
他の指を動かさずに親指のみを動かすのです。
他の指の弦との角度が変わると音が変わります。
親指だけ動かす練習をします。
すると,4弦とか3弦を弾く時は親指が窮屈になりますが,これもまた練習です。
親指をコンパスのように,付け根を支点にして使うと弦と指の交差する角度が弦によって変わってしまいますし,人差し指の動きをじゃまして良い音が出ません。
そして,音量も上がりません。これが初心者の手の動きに近いでしょうか。
では,正しいフォームで1~3弦と6弦を同時にはじいてみましょう。
イメージはグーを握る感じです。
箱鳴りが大きく感じられると思います。
♪ジャーん!
どうでしょうか。弾き終わった形を見てください。
そうです。この形になります。
親指が突き出たグッドな形になっていますか。
(≧∇≦)b OK!
それで完成です。
おまけとして,次の写真を見てください。
弾き終わった後の右手の形に注目ください。
メリルギターの製作者ジム・メリルです。
親指が少しくっ付いていますので,中級でしょうか?
(^∧^) スミマセンです。
ポール・マッカートニーのバックギタリストだったローレンス・ジュバーです。
LJは本当にギターが上手です。あらゆるスタイルをプレイできます。
彼は音色にもこだわりがあり,爪を使いません。
指先のみで弾きます。
彼の親指を見てください。上級ですね。
(o^^o)ふふっ♪
脚注 でも,ギターのスタイルは様々でこれが絶対というのはないと思います。このスタイル以外でも良い音を出す人がたくさんいます。
岸部さんはクラッシック風の角度で右手を浮かせて使います。
普通はそれだと,弦が鳴りすぎてきつい音になるのに,彼は非常にきれいな音が出ます。
上級者になると,基本の上に自分のスタイルを作り出すということもあるんですね。
右手の形にこだわれば,次はひじの位置まで影響するんですね。
右手の動きが決まってくると右手の位置がハッキリしてきます。
ハーフミュートを考えると当然,右手の角が4~6弦のサドルの上に来ます。
そうすると,そこからひじの位置も計算されることになるのではないでしょうか。
時々,ギターのサイドの上部から押えるというか寄りかかっている人がいますが,それは間違いです。
生徒さんご協力 ブンブン ヾヾ(^-^) ありがとがとぉ♪
ひじの位置が下がっています。そのため手首を曲げて調整するようになっています。
これが正しいひじの位置になります。ギターのカドを前腕で押えます。
手の位置から逆算して行くわけです。
そうすると,手が短い人はドレッドを持てないということも出てきます。おそらく,身長が160cm以下の人がドレッドを持つと右手が苦しい位置に来るかもしれません。
(T_T)シクシク
つまり,ギターの角の位置をトップ側から押す力が働くのが重要です。
右脇をしめる事でトップを自分に引き寄せて,ネックを左前に移動する事が出来るでしょうか。
実はこの力のかけ方こそ上級者の技といえます。
セーハコードを7フレット以上で押えるには,ネックを左前にしないとネックと手の角度がキープできません。
ちょうど左のひじがおなかに当たってしまいます。
曲の中でハイフレットのセーハコードが出るその時に,一瞬で左前に位置を調整しているのです。
(」゜ロ゜)」 ナント!!
知りませんでしたか。
これがその左前の技です。ハイフレットのセーハコードは左手だけで出すのではなく,右わきのシメ具合がカギだったのです。
ハイフレットのセーハのカギが実は右ひじにあったのです。
何年も試行錯誤してから,ひとつの結論にたどり着くのも良いですが,最初に基本的な弾き方をすでに身につけている人から教わって,その上に自分のスタイルを構築する方がはるかに高い所までいけると思います。
一人よがり自己流の人が多いギター業界ですが,2005年のテーマを私は考えました。
「上達しないと楽しくない」
というわけで,ギターは上達がおもしろさのカギですね。
みんなでわいわいだけでは本当の楽しさはわかりません。
ぜひみんなで技とアイディアを出し合いましょうね。
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